これまでアブザンカウンターカンパニーで幾度となくMOコンペリーグ5-0を繰り返してきたLaplasjan氏が灯争大戦後の環境における新たなドルイドコンボを考案した。
絆リス
ということで、今回は氏が主に活動しているサイトCARD KNOCK LIFEにおける氏の記事を翻訳してみた次第である。
キーカードはビビアンのアーク弓である。
環境最初期のデッキ構築の思考の流れなどが記されている。
目次
- Laplasjan氏の「Introducing Abzan Arkbow」を訳してみた
- 導入部
- Enter Vivien’s Arkbow
- The Problems? 問題は?
- Abzan Arkbow アブザンアーク弓
- Primary Win Condition 第一の勝ち筋
- Secondary Win Condition 第二の勝ち筋
- Value Creatures アドバンテージクリーチャー
- Silver Bullets シルバーバレット戦略
- The Manabase マナベース
- Laplasjan’s Final Abzan Arkbow Maindeck メインデッキはこんな感じ
- A Bit of Math 数学的な話
- The Sideboard サイドボード
- 5c Humans
- Amulet Titan
- Dredge
- Grixis Shadow
- Tron
- UR Phoenix
- Summary まとめ
- おわりに
Laplasjan氏の「Introducing Abzan Arkbow」を訳してみた
ということで早速以下訳である。
導入部
モダンにおける緑のクリーチャーチューターが追加されるたび、出産の殻と比較がなされる。
私もまたそれに習わずにはおれず、プレビューシーズンを新カードの選定にあてた。
異界の進化や首席議長ヴァニファールでは大きな期待をよせたわけだが、ほんの少しの結果が得られただけであった。




しかし今回この灯争大戦は違うようである。
Enter Vivien’s Arkbow
ビビアンのアーク弓は私のクリーチャーを用いたツールボックスについての考えにどう貢献したのか?
異界の進化やヴァニファールと比べ、同じ欠点があるわけではない。
進化はソーサリーだし、生贄という大きなコストを伴う。
ヴァニファールは4マナのクリーチャーとモダンにしては遅いのである。
それは除去に対して脆弱であり、進化のように、ソーサリースピードである。




私たちのツールボックスエンジンが効率的であるためには、私たちはクリーチャーに頼ることはできない。
だからこそ、ヴァニファールはほとんどコンボ指向のデッキにしか現れなかったのである。
ビビアンのアーク弓はインスタントスピードで起動できるのだ。
それはコントロールに対して非常に有利であり、他の対戦にも関連する可能性がある。
アーティファクトゆえ、クリーチャーよりは除去耐性がある。
起動コストにディスカードが伴うが、生贄よりは良いだろう。余ったアーク弓やマナクリ、土地を捨てられるのである。
The Problems? 問題は?
このカードは明らかに出産の殻ではない。
そして実際、それは一種のチューター効果である。
Xを払ってクリーチャーを場に出せることを期待するわけだが、1枚も当たらないこともある。
最悪、5マナ払ってディスカードした上で何も起きない。
あたりを引くためにはそれなりの数のクリーチャーをデッキに入れる必要があるのだ。
Abzan Arkbow アブザンアーク弓
思うに、ビビアンのアーク弓を用いたクリーチャーツールボックスデッキは一貫性と強力さを兼ね備えている。
私はアブザンカウンターカンパニーで多くの経験を積んできた。そのため、ビビアンのアーク弓をベースにしたこの新しいデザインの出発点としてその核を使用することにした。
氏はKCI禁止直前の環境にて、アブザンカウンターカンパニーのガイドを記している。
そちらも訳しているので興味があれば是非チェックしていただきたい。

集合した中隊と異なり、アーク弓は3マナ以上のクリーチャーを使うことを許容している。
ノンクリーチャースペルに関する許容度も集合した中隊に対して高い。
3マナ以上のクリーチャーをプレイすることを許容するのだ。
これ自身がノンクリーチャースペルなため、カンパニーデッキに許容しづらいものでもある。
はじめ、完全にカンパニーの代わりにアーク弓を入れることにした。
主な理由は1マナのマナクリーチャーからアーク弓を展開していけるということもあげられる。
他の理由としては、終盤に引くマナクリの弱さを軽減できるということがあげられる。
マナクリが多いというデッキ構造がアーク弓の性質を助けるはずである。
ということでコンボの献身のドルイドと療治の侍臣、マナクリ7枚(極楽鳥4枚と貴族の教主3枚)、召喚の調べ4枚、アーク弓4枚、土地22枚から始めるに至る。












TOTAL (45/60)
Creatures (15)
4 Birds of Paradise
3 Noble Hierarch
4 Devoted Druid
4 Vizier of Remedies
Instants (4)
4 Chord of Calling
Artifacts (4)
4 Vivien’s Arkbow
Lands (22)
22 Lands
残りは15枚。これ以上はノンクリーチャースペルはいらないだろう。
Primary Win Condition 第一の勝ち筋
コンボで勝つためには歩行バリスタ、不屈の神ロナス、豊潤の声、シャライのいずれかを採用することになるだろう。






バリスタを見つけるために薄暮見の徴募兵を使うことができるのだが、アーク弓とXマナのクリーチャーは相性が悪いため勝ち手段としてバリスタを採用するのは保留する次第である。
バリスタが有用なカードであるがゆえ、これは残念な話である。
ロナスは良さげだが、しばしば単独でいたずらに立ち往生する。
シャライはより多くのマナを要求するがブロッカーより多くのクリーチャーをコントロールしてさえすれば勝てる。
ということでロナスとシャライでテストを開始した。
Creatures (1)
1 Rhonas, the Indomintable/Shalai, Voice of Plenty
Secondary Win Condition 第二の勝ち筋
アブザンカンパニーをプレイするに際し、多くの場合ドルイドと召喚の調べだけでは勝てないことに気づいた。
薄暮見の徴募兵を相手のエンド時に召喚の調べ経由で出し、その起動型能力により勝ち筋を探すことが多いのだ。これは非常に有望である。
この起動型能力はアーク弓の起動型能力のディスカード用カードのためにも重要なのである。
さらに、コンボによる勝ちを目指さない場合にも、より多くのクリーチャーを用意できる。
Creatures (1)
1 Duskwatch Recruiter//Krallenhorde Howler
Value Creatures アドバンテージクリーチャー
このタイプのデッキではいつものように、2つの実行可能な戦略がある。
コンボとミッドレンジ・アドバンテージ戦略である。
アーク弓では、カンパニーとは対照的に、ほとんどすべてのクリーチャーをデッキに詰めることができる。
この戦略に相乗効果があり、「戦場に出る」効果があるクリーチャーを主に採用したいところである。
永遠の証人は、召喚の調べデッキでほぼ必要と思っているクリーチャーなのだ。
具体的な計画がなくても、相手のターンの終わりに召喚の調べを唱えて証人を呼び、さらなる情報を待つことができる。
また、私たちは自分の勝利条件や他の価値のある生き物を取り戻すことができる。
私たちが極楽鳥、貴族の教主、ドルイドをプレイしていればマナは問題にならないだろう。
ゲームが失速した時の勝ち筋は不屈の追跡者である。アドバンテージを生むこのクリーチャーの能力はあまりにも強力である。
台所の嫌がらせ屋は時間稼ぎに長けている。
マナカーブの最後のクリーチャーは目覚ましヒバリである。
コンボとアドの両方でこのデッキを助ける存在である。
コントロールデッキはこのクリーチャーを死亡させたくないわけだが、修復の天使によりぴったりと収まる。
ETBを持ったクリーチャーは多い。ミッドレンジ、コントロールに対しての圧力となる。とりあえず3枚から始めてみる次第である。
Creatures (8)
2 Eternal Witness
1 Kitchen Finks
1 Tireless Tracker
3 Restoration Angel
1 Reveillark
Silver Bullets シルバーバレット戦略
召喚の調べとビビアンのアーク弓によりシルバーバレット戦略が取れる。
まずは漁る軟泥を採用する。これは墓地利用デッキに対するヘイトカードとして優秀である。
サイドではもちろん、メインでも使うクリーチャーとなるだろう(少なくとも信仰なきものあさりが禁止されるまで)。
秋の騎士は別軸でかなり使えるETB持ちのクリーチャーで、修復の天使で使い回せてしまうクリーチャーだ。
とりあえず1枚から始める。それで十分なはず。とりあえず試して見る次第である。
カウンターカンパニーでは使えなかった、対クリーチャー能力に関しては常に問題になる。
今回除去はまだ採用していないが、今となっては別の選択肢がある。
出産の殻時代では採用できなかった貪欲なチュパカブラである。
4マナ2/2は冗談めいているが、サイズ・コストに関わらずの除去として機能するのだ。
叫び大口、悪鬼の狩人などとは一線を画す能力である。




とりあえず2枚から始める次第である。
修復の天使と合わせてなかなかやばいのではなかろうか?
最後の1スロットは異界の進化、または新カード破滅の終焉になるだろう。




役割は同じである。
進化は早いが生贄を要する。
終焉は重い。遅いゲームほどその可能性を発揮するだろう(場に何もいない時の進化はヤバめ)。
墓地とライブラリーをサーチできるという優秀さも持ち合わせ、無限マナ下ではフィニッシャーとしても使えうる。
包囲サイ、カリタス、軟泥的な何かなど、他の選択肢が最善かどうかは私には今の所判断できない。






しかし非インタラクティブデッキや他のコンボ(アミュレットやトロン)に対してはできる限り多くの選択肢がある。
Creatures (8)
1 Scavenging Ooze
1 Knight of Autumn
2 Ravenous Chupacabra
Sorcery (1)
1 Eldritch Evolution/Finale of Devastation
The Manabase マナベース
このデッキがどんな感じか一般的な理解ができたと思われるのでマナベースを今一度構築したい。
カウンターカンパニーは20〜22の土地を入れるのが一般的である。
使っている限り所感として、スピードに反して常にマナが足りないと感じていた。
ダブルシンボルのチュパカブラがいてもなお、このデッキは緑タッチ白なのである。
しかし私は黒の除去と白のヘイトカードを頼りにしている。
ということで白・黒のマナベースを保つ次第である。
ガヴォニーの居住区は素晴らしい選択だろう。
アーク弓の起動によりターン終了時にマナをキープする必要があるため、ガヴォニーは1枚にしている。
昨今多く採用されている廃墟の地により色マナを減らしたくないため今回は不採用である。平地と沼を1枚と森を4枚デッキに入れることにする。
ダメージを抑えたいのでファストランドを2種2枚ずつ入れてみる。




Land (22)
3 Windswept Heath
3 Verdant Catacombs
4 Forest
1 Plains
1 Swamp
2 Temple Garden
2 Overgrown Tomb
2 Blooming Marsh
2 Razorverge Thicket
1 Horizon Canopy
1 Gavony Township
Laplasjan’s Final Abzan Arkbow Maindeck メインデッキはこんな感じ
Creatures (29)
4 Birds of Paradise
3 Noble Hierarch
4 Devoted Druid
4 Vizier of Remedies
1 Duskwatch Recruiter
1 Scavenging Ooze
2 Eternal Witness
1 Kitchen Finks
1 Knight of Autumn
1 Rhonas, the Indomintable OR Shalai, Voice of Plenty
1 Tireless Tracker
2 Ravenous Chupacabra
3 Restoration Angel
1 Reveillark
Sorcery (1)
1 Eldritch Evolution OR Finale of Devastation
Instants (4)
4 Chord of Calling
Artifacts (4)
4 Vivien’s Arkbow
Land (22)
3 Windswept Heath
3 Verdant Catacombs
4 Forest
1 Plains
1 Swamp
2 Temple Garden
2 Overgrown Tomb
2 Blooming Marsh
2 Razorverge Thicket
1 Horizon Canopy
1 Gavony Township
A Bit of Math 数学的な話
この構成のデッキでアーク弓からクリーチャーを引き当てる確率はどのようなものだろうか?
- For X=3, 3マナ以下がヒットする確率は75%になる。
- For X=4 マナ以下がヒットする確率は92%になる。
- For X=5, 5マナ以下がヒットする確率は97%になる。
Xを大きくすれば高コストのクリーチャーがでるというわけではないが、必要なクリーチャーを見つける可能性は高くなり選択できる選択肢が増えるのは確かである。
とは言え、アーク弓3マナ起動はそれほど魅力的ではないかもしれない。
カンパニーと同じ4マナで始めて失敗が減るだろう。私の考えでは4マナ起動がこの能力の強力な起点となる。
より多くコストをかけられればそれに越したことはない。
The Sideboard サイドボード
サイドボードは私にとって最大のパズルである。
さらにテストを重ねると、どの対戦が難しいのか、どのカードがそれ自体で問題になるのか、そしてどのカードがそれに対処するために含めるべきなのかが明らかになる。
この最初のサイドボードは、主にカウンターカンパニーでの経験と現在の最上位メタに対する回答に基づいて構築した。
私の考えを簡単にするために、私は以下の6つのデッキをトップ層として選び、私はそれらに対して私のプランを開示する。
- 人間
- アミュレットタイタン
- ドレッジ
- グリクシスシャドウ
- トロン
- フェニックス
Sideboard (15)
1 Surgical Extraction
2 Fatal Push
1 Nihil Spellbomb
1 Abrupt Decay
2 Assassin’s Trophy
2 Damping Sphere
1 Kataki, War’s Wage
2 Scavenging Ooze
1 Fulminator Mage
1 Tireless Tracker
1 Sin Collector
5c Humans
瞬速の飛行クリーチャーや調べ・アーク弓のインスタントタイミングのチューターは相手にとってコンバットを複雑なものにする。
人間の最速の展開を止めるのは難しいが、このデッキには反撃できる力がある。
修復の天使でチュパカブラを明滅させることによりマナを集中的に要するが、非常に強い。
薄暮見の徴募兵のいる状態での無限マナは全てのクリーチャーへアクセスできる。これはインスタントタイミングのシャライがいなくても勝つには十分である。
ということでシャライはこのマッチアップでは優先度が低い。
- 2 Fatal Push
- 1 Abrupt Decay
- 2 Assassin’s Trophy
Amulet Titan
このマッチアップでは、我々のコンボは非常に重要である。
桜族の斥候や梓を除去できる致命的な一押しは土地を渡す流刑への道より良いと感じている。
精力の護符は常に怖いが、1マナアーティファクト除去に注力するのは難しいだろう。
- 2 Fatal Push
- 1 Abrupt Decay
- 2 Assassin’s Trophy
- 2 Damping Sphere
- 1 Fulminator Mage
Dredge
通常無理なマッチアップである。ドレッジを倒すためには5番目の召喚の調べこと異界の進化または破滅の終焉でシルバーバレットによる解答か、コンボを成立させるかしないといけない。
- 1 Surgical Extraction
- 1 Nihil Spellbomb
- 2 Scavenging Ooze
Grixis Shadow
このマッチアップは速くて辛いためトリッキーになるだろう。シャドー側のペースに追いつくためには加速してアドバンテージが取れるクリーチャーを必要とする。
アーク弓の起動は、召喚の調べと違い打ち消されないためゲーム後半では非常に強力だろう。
しかしながらマナクリが終盤に生き残っていることは困難になる。
- 2 Fatal Push
- 1 Nihil Spellbomb
- 1 Abrupt Decay
- 2 Assassin’s Trophy
- 2 Scavenging Ooze
- 1 Tireless Tracker
- 1 Sin Collector
Tron
このマッチアップもまたコンボ成立を目指さなければならない。我々のクロックはトロン成立前に殴り切れるほどのものではない。サイド後は複数のヘイトカードを頼ることになる。
土地破壊をする方法は3つしかないため、外科的摘出については確信が持てないが、それでもこのマッチアップでは他に良いカードがない。
- 0-1 Surgical Extraction
- 1 Abrupt Decay
- 2 Assassin’s Trophy
- 2 Damping Sphere
- 1 Fulminator Mage
UR Phoenix
このマッチアップではチュパカブラと飛行クリーチャーに助けられるはずである。
我々のコンボは通常氷の中の存在のバウンスに弱い。しかし氷の中の存在を除去することができればフェニックスはブロックできる。
サイド後はさらに良いだろう。最も危険なのはフェニックスの高速展開であり、このことが問題となるならば外科的摘出を増やすことを検討するべきだろう。
- 1 Surgical Extraction
- 2 Fatal Push
- 1 Nihil Spellbomb
- 1 Abrupt Decay
- 2 Assassin’s Trophy
- 2 Scavenging Ooze
- 1 Tireless Tracker
- 1 Sin Collector
Summary まとめ
このデッキはモダンで戦えるだろうか?
私はそれができると考えている。
私のこの最初の選択は合っていただろうか?バントカラーがよかっただろうか?反射魔道士、呪文捕えのカードパワーはわかっている。
ピアナラーとキランナラーやキキジキは黒よりも良いだろうか。
環境初期においてはそれを明言するのは難しいところである。
アブザンが最善ではないとしても、私はまだこのデッキが面白いものになること、そしてまだ探求すべきデッキであることを確信しているのである。
おわりに
ということでLaplasjan氏によるアーク弓型ドルイドコンボの環境最初期(開始前とも言える)の考察であった。
カウンターカンパニー好きは是非チェックすべきだろう。
筆者は灯争大戦発売日初日にアーク弓を4枚抑えた次第である。これから色々と試してみたいところ。
ちなみに氏のデッキは早速MO競技リーグにて5-0を果たしたようである。
参考 MO競技リーグ(モダン):1キル型グリショールなど、『灯争大戦』カード採用デッキが複数5-0イゼ速このリストではシャライと異界の進化を採用した模様。またサイドから外科的摘出が抜かれ、虚無の呪文爆弾が増量されている。
調整の過程も追っていきつつ筆者も試してみたいところ。
その後不意に氏は以前の聖遺の騎士型アブザンカンパニーで5-0をしていた。
筆者が思うに、新カード追加による環境の変化で以前の型が活躍できるかどうか試したのではなかろうか。
わからんけど。
いやはや、それにしてもモダン、面白いものである。
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